「……しょう……くん…」


「…!?」


そうだ。

なんで気付かなかったんだろう。

時々、彼の目や言動に…なんとなく既視感を覚えていた。

なんで……。


「……遅すぎ。鈍いとこ変わんねー」


そう言ってふっと笑った顔にも、そういえば覚えがある。


ずっと小さい頃…同じマンションに住んでいた、いわば幼馴染みだ。

小学校に上がる直前に、あたしが今の家に引っ越してしまって…それ以来だった。


だけどどうしてこの学校に?

それになんで、あたしのことが分かったんだろう。

あんなにも昔のことなのに…。


そんなあたしの思いを汲み取ったのか、どこか憂いのある表情で彼は言った。


「分かるに決まってんでしょ。忘れたことはなかったし……そもそも変わってないし」


「かっ……変わってない?」


幼稚園の頃から?

それはなに、あたしそこまで子供っぽいですか!?


「…それ言ったら翔くんは…変わりすぎだよ。すごく大人っぽくなっちゃって…」


性格だって、もっとこう……引っ込み思案な感じだったと思う。

よく覚えてないけれど、少なくとも急にキスをしてきたりするような子に育ちそうな感じではなかった!!


「育ってるし。実際」