でも、それがなんだというのだろう。

あればかりは、槙野くんは関係ないのだ。


「なんでだよ?」


うつむいて、搾り出すように擦れた声で言う。


「え?」


「一年のときから、泣かされてばかりじゃないか」


一年の……とき?

え、なんで一年のときのことなんて、槙野くんが知って…。


「お前を泣かせるようなやつやめて、俺のもんになれよ…悠由…」


「……!?」


『悠由』と、彼の声で呼ばれた瞬間。

大きなデジャヴと共に、記憶の一部が引っ張り出された。





『ゆうゆちゃん……また会える?』


『当たり前だよ! 絶対また会おうね』


『そしたら約束どおり、僕のお嫁さんになってくれるよね!』


『うん! ばいばいしょうくん――…』





…うそ……でしょ……?