――それから一時間弱が経った。

ぼーっとして先輩の胸に頭を預けていたあたしは、チャイムの音にびっくりして体をびくんと跳ねさせた。


「ふっ……」


それを見て、当然、息を漏らすように笑う先輩。


「……べ」


くりっと振り返って舌を出してみた。

せめてもの反抗だ。


「んぅ!?」


その無駄な反抗のせいで……出した舌を、咥えるようにキスをされた。


あまりの驚きでもう、死ぬかと思いました…。

いまほんと、冗談抜きで。


「んなっ……ななな、なにっ、にっ…」


「あほっぽ」


あほっぽいって!!

あなたのせい! 確実にあなたのせい!


ものすごく冷めた目であたしをじろじろ見る先輩に、ぜひとも言ってやりたかった。


そんな度胸はないので、もごもごと口の中にとどめておくしかないけれど…。


「……先輩のばか」


それでも、聞こえないように呟くぐらいはしてみた。