涙がこぼれそうになった。
先輩を好きになってよかった…と、心から思えた。
「なに、睨んでんの?」
必死で涙をこらえて唇を噛んでいるというのに、むにっとほっぺを掴む。
ひょっとこみたいに口が突き出る。
「ぷっ……変な顔…くくくっ…」
あまりに可笑しそうに笑うから、ついむっとしてしまう。
その変な顔にしてるのは、先輩だというのに!
「にゅ~…はにゃして~」
「くくくっ…」
喋れば余計に刺激するのか、さらに笑う。
笑い上戸? つぼにはいっただけ?
なんにせよ、先輩笑うようになったよねやっぱ…。
ついに手を離して、口元を押さえて顔をそらして笑う先輩。
ぴとっと両手でほっぺたを挟んでみた。
「ん?」と言いながら、あたしの目を見る。
「えへへ……」
照れ笑いを先に浮かべておいて。
「!?」
ほっぺたを挟んでいた手を首に回し、素早く唇をくっつけた。
さしもの先輩も、とても驚いたようだった。

