結局この日は、二人にからかわれーのへたれと言われーのと、散々だった。
しかも…。
「おねーーちゃあん!」
時折空が光り、ゴロゴロと嫌な音が鳴っている。
案の定、雨は降り始め、危惧していた雷も鳴り出したのだ。
慌てて帰ると、由那は半べそかいていて、那智兄はただおろおろしていた。
「ごめんねー? 由那ちゃん。もう大丈夫だからね」
しっかり抱きしめて、背中を撫でながら言った。
由那が寝てからも、雷雨は去る気配がない。
「今日に限ってこれとは…」
きっと大変だったんだろう。
那智兄が、大きくため息を吐きながら呟いた。
「はい、那智兄」
労いも込めて、ビタミンCたっぷり! の、柚子茶を差し出す。
「サンキュー」
と言ってマグカップを手にする。
自分の分も淹れて飲みながら、チラリとカーテンの閉まった窓に目をやる。
ピカッ!と光る空や…ドーンッという地響きのような音が…なんだか、杏子たちの言う「三角関係の波乱」ってやつの象徴な様な気がした。