最高級のスポーツカーのような走行性能と、最高級セダンのような乗り心地のこの車を壊すのは惜しいがこの際諦めて、後部座席の丁度下あたりに、起爆スイッチの信号に合わせたC4爆弾をセットした。
そして、俺はビルの駐車場出入り口がよく見える所に隠れて出てくるのを待った。
遠くでサイレンが聞こえてきた。そろそろ気付かれる頃である。
日垣も必死であるから、見られて困る書類やCD-ROM、フロッピーなどをまとめているのだろう。
5分ほどして車が出てきた。
間違いなくAMGのベンツである。
日垣社長も乗っていた。
車が俺の目の前を走り抜け、そこの角を曲がる瞬間に、俺は、起爆スイッチのボタンを軽く押した。
と、同時にもの凄い爆音と共に、オレンジ色の炎と共にAMGのベンツは宙に舞いながらバラバラに砕け散っていった。
社長と共に。
俺は炎を背にしながら歩き出した。
今、北朝鮮に居るであろうランビットへの復讐方法を考えながら。
今は生かしといてやる。
だが、あいつが生きている間、俺は枕を高くして寝れない。
奴に対する復讐のシナリオが出来るまでの間、好きにさせておくが、今度会う時は奴の死ぬ時だ。
そう心の中で何度も呟きながら、最後の炎を体の中で今一度燃やし始めた。
俺は、ひとまず妹の墓に報告に行く事にした。
これから始まる第二の復讐の事を!
彼らが持つ全ての工場の破壊と、ランビットへの報復、それに彼らに関わり、至福を肥やしている政治家どもへの地獄への招待状を渡す事を!
FIN



