「兄さん。これ」

「本当は今でも反対なんだけどな」


兄さんと秀司、そしてりんご。

それぞれにあてて書いた手紙

「もしもなんて考えていない」


りんごと共に行った写真展のカメラマンと向かうのは長い間内戦が続いているC国。


手紙はもしも帰ってこれなかった時に読んでほしいと兄さんに託すものだ。



「帰ってくる。約束だぞ」


「わかってる」


グラスに残ったカクテルを飲みほした





























最初は順調だったものの、案の定というべきか、紛争に巻き込まれ気づいたときはカメラマン、高岡の行方もわからなかった。


傷は痛んだが、どこかでこれで良かったのだと思う自分がいた。



自分という存在を消してしまいたかった。





りんご。ごめん