「お昼どうする?」
「お任せする。ウインドーショッピングしても良い?」
もうすぐ兄さんの誕生日だ。
「良いよ。兄さんのプレゼント選ぶんだろ?」
「うん」
時折感じる視線。知らない人間が見るとどう映っているのだろうか?
「りんご?」
紳士服店に入り、上の空のりんごに声をかける。
「何でもない。どうこれ?」
「いや。こっちの方が。それだと益々夜の香りが」
医者という堅い職業のはずなのだが、兄さんはよく夜の仕事に間違えられる。
あんずさんも初めて会ったときはホストだと勘違いしていた。
「じゃあこれにする。ありがとう付き合ってくれて。お昼遅くなっちゃったね」
「いや。大丈夫。ちゃんと隠せよ」
しっかりしているようで、どこか抜けているのがりんごだ。
以前取材で訪れたランチタイムが長いカフェに入り、遅めの昼食を摂る。


