刹那、りんごから零れ落ちたのは






「っりょ……ぅ」







涙と嗚咽






ペンで仕事をしているくせに気の利いた言葉なんて出てこなくて、ただりんごの頭を撫で続けた





どのくらいそうしていたかなんて記憶にない






段々鳴いている声が小さくなっていって、体が限界だったんだろうと思ったから






「眠りな」








あやすように背中を叩くとすぐに体重を預けてきたのがわかった











膝裏に手を入れ抱き上げると、玄関に向かい、インターフォンを押した