それから半年




りんごのあの涙から1年ほどたったある日




義姉さんは、兄さんの診断した余命通り、りんごを残して旅立った






その一報を聞いたのは遠く離れた南の地でのことだった





「…秀司。できる限りすぐそっちに向かうから」




「わかった。無理しなくていいから」




キャンセルの出た飛行機に乗り込む




乱れた髪など気にならなかった




散らかったクローゼットから喪服を引っ張り出すと、黒いネクタイを手に持ち、兄さんの家へと急いだ。




「りんご」



庭先で呆然と空を見上げるりんごを見つけ、躊躇うことなく声をかけた









「よく頑張ったな」











顔を胸に押し付けるようにして抱きしめた