少年少女リアル

 彼女はフリルをつけるのに、接着剤か釘どちらが良いかと僕に尋ねてきた。
もちろん釘だと返したら、袋の底から小さな釘を出した。四次元ポケットでも持っているのか。

いざ布を打ち付けようとしたけれど、やっぱりポケットは持っていないみたいで。肝心な金槌は出てこなかった。

釘を用意するまでは良かったけれど、金槌にまで気が回らなかったらしい。

しっかりしきれない人だ。
失礼だと分かっていても、顔が緩んでしまう。

「曾根君って、もっと怖い人だと思ってた」

「え?」


あの時の事だろうか。急に顔が強張る。


「寡黙だし、いつも不機嫌そうだから」

そういう意味か。

不機嫌なのは心外だが、確かに、口数は少ないかもしれない。

「さっきみたいに、笑ってるの意外だなぁって」

「別に、いつも不機嫌なわけじゃない」

一瞬、目が合った。逸らしたのは僕だ。
不機嫌なわけじゃない。どうしていいか、分からないだけだ。特に、向井さん対しては。
そう口に出さずとも、彼女は小さな声で「そっか」と呟いた。