「何やるの?」

突飛な質問に、え?と目を丸める。

「文化祭よ。曾根君のクラス」

前置きなしに、分かるわけないだろ。
この人はいつも急だ。少し変わっている。

「さぁ。まだ決まってない」

興味が薄れたのか、「ふーん」とふてぶてしい返事をされた。

「夏目さんのクラスは?」

今日返却された本の題名を一つ一つ確認していく。面白そうなものは、ない。

「劇」

「何の?」

「『ロミオとジュリエット』のパロディーだと思う、多分」

「面白そうだね」

そう?と眉を顰められた。
目敏いこの人に、空返事をしてはいけない。

「てか、夏服に変えたんだ」

慌てて話題を変える。

「流石に、七月は暑いからね」

今年はかなり気温が高い。きっと夏本番は猛暑になるのだろう。

強情に間服を着ていた夏目さんも、どうやらお手上げらしい。