たとえば、急に目覚めなくなれば、それは「普通」じゃないわけで、日常から軌道が外れてしまう。
それが死だとしても脳死だとしても、今までとは全く違う「非日常」になる。

けれど、数日も経てば、それが「普通」になってしまう。
きっと犯罪者やファンタジーに出てくる勇者の気持ちって、こんな感じなのだろう。
「非日常」はすぐに「日常」になってしまうのだ。


砂糖がコーヒーに溶けるのが当たり前なように、朝目が覚め、また今日が始まった。

身体は重く、気分も重い。

とても今から冒険へ旅立てそうもない。
僕の非日常は、犯罪者から始まったからだ。


これが日常になると思うと、目覚めなければ良かったのかもしれない、と溜め息が零れた。