「やっぱり前言撤回する」
例の如く、唐突な切り出しだ。この人は、どこで会っても何も変わらない。
「前言? いつの?」
「曾根君と私が似てるって言った事」
「それはまた、急だな。どうして?」
「どうしてかな。何となく、見ていくうちにそう感じただけじゃないかしら」
悩む様子もなく、淡々とそう言ってのける。潔いほどに感覚任せな返答は予想外だった。
「それに、曾根君。私の事、変だと思ってるでしょ」
「え、別にそんな風には!」
ぎくりとした。思わず否定しようとしたけれど、続きを言う前に、自ずと笑ってしまった。
「ごめん、思ってた」
「時々、凄く可笑しな目で私を観察してた」
「それは参ったな。本当は宇宙人じゃないかと思ってた。今も思ってる」
「宇宙人? 曾根君って意外と想像力豊かなのね」
「夏目さんはリアリストだよ」
「現実が見えていても、動かす力がなければ意味がないけどね」
夏目さんは苦笑した。
「夢見がちでも、藻掻く力のある方が結果的には上手くいくのよ」
「それって、謙遜?」
「疎んでるだけかもね。自分にないものを持ってる人を」


