少年少女リアル

 心臓が詰まる感じがした。数秒間堪えた頃、腕を放すと、奈央も慌てて僕から手を放した。

「まだ好きでいてくれてよかった。今日ちゃんと伝えて、よかった」

純粋に、ぽろりとそう零れていった。

ああ、口にするつもりはなかったのに。そう思ったけれど、こんな飾り気のない言葉でも、たちまち紅潮していく頬が分かりやすい。
そして、決まって黙り込む。ほら、この通り。

声を出さずに笑ったのに、奈央は困ったように睨んできた。

「ああ、もうクタクタだよ、疲れて立てない」と知らんぷりを決め込む。言わずもがな、内容は真実同然だった。

奈央は、ふざけるなとばかりに口を尖らせた。

「忘れろだとか勘違いだとか、もう言わない? 私の妄想なんかじゃないよね?」

「言わないよ」

ここまで来て、そんな事を確認するなんて、と笑い飛ばす。
僕は余程嘘吐きだったらしい。厭わしい奴だ、と嘲笑が混ざる。


「ああ、でも、できればこの衣装でここまで来た事は忘れてほしいな」

そう付け加えた僕に、彼女は一瞬目を真ん丸にすると、ふふ、と眉を曲げて笑った。

「絶対忘れてあげない」

「忘れろってば」

「思い出して時々笑うの」

「性悪なこと言うなよ」