少年少女リアル

 肝心な時なのに、頭の整理がつかない。
そうかと言って、ストレートに思い浮かぶ事をそのまま言えるほど、単細胞でも純粋でもなくて。
彼女はまだ答えを待っているけれど、僕は中途半端に頭の中をあちこち入れ換えているだけだった。

ごめん、と口にすると、続ける言葉を必死に探した。

「たくさんひどい事をした。僕はひどい事しか、してないから」

「うん。知ってる」

「許されるわけないのに、謝れば許してもらえると心のどこかで期待してる」

整理されない言葉が、馬鹿正直に転がり落ちていく。

「そうやっていいように考えて、追い掛けてきた狡い自分が嫌だよ。でも、謝らないままはもっと嫌だ」

綺麗事に言い換える間もなく、不恰好な心の内を吐き出す。
彼女は悲しそうな顔で、小さく二度頷いた。

「曾根君は、ひどくて、狡いよ」

絞り出したような声だった。

「そうやって、先に私から選択肢を奪っちゃう」

そう言いきる前に、彼女の目から涙が溢れ出てきて、目尻からいくつか線を作って流れていった。

どうして泣く。

悔し泣きのようだが、理由は分からない。
泣くほどに、僕が憎いか。最低な奴だと軽蔑したか。

そうだとすれば、僕はこれ以上何を言えばいいのか分からない。

鼻と目元が真っ赤になって、彼女は歪んだ顔のまま、さっきよりも大分と震える声を零した。

「冷たくて、自分勝手で、最低で」

「うん」

「すぐ感情的になるし」

嗚咽混じりにそう言うと、余所を向いて彼女は咳き込んだ。


図星だ。

最低な自分。
偽りもなく僕で、誰にも知られたくなかった。自分にも知らしめられたくなかった。

「最低で、ごめん」

「知ってたよ、そんな事」

彼女は呟くみたいにそう言ってのけると、手の甲で涙を拭った。