「で、僕は何から答えればいい?」
呆れ半分に話を切り出すと、彼女はあれこれ考えた様子で、確かめるように僕の目を見た。
「体調は?」
「うん、最悪だよ」
「何それ。全然大丈夫じゃない」
眉を曲げながらも、小さく笑う。
地面に腰を下ろすと、額を覆っていた汗が一気に方向転換を始めた。
ひどく蒸し暑いけれど、上着を脱ぐ気力さえ今は起きない。
「間違いなく悪化したよ。走ったせいで、余計に」
「本当?」
「本当だよ」
嘘なものか。
もう当分立てそうにない。
「じゃあ、どうして、どうして、ここまで走って来たの?」
躊躇いがちな言葉が意地らしい。分かっているくせに。
彼女は落ち着かない様子で、言葉を待っている。
何と言えばいいのかまでは用意してこなかった。言いたい事は溢れ出てくるのに、整理がつかない。
僕は少し考えた。
「謝りたくて、だと思う」
呼吸がまだ整わない。収まらない汗を拭った。


