身体も鞄も、さっきの二倍以上重い。息切れもひどいものだ。
重さのせいか、熱のせいか、どちらか分からないけれど、ひどく足元がふらついていて、今にも転びそうなほどだ。
倒れる前に、次の足を無理矢理にでも前へ出す。
そうでもしなければ、身体がその場で崩れ落ちそうだった。止まれば終わりだ。
僕の膝といったら、全く、頼りない。
公園を通り過ぎ、並木道を抜ける。
金木犀の香りが仄かに漂う。
一昨日の雨でほとんど花が散ってしまい、もう香りはうっすらとしか感じられない。
潰れた花々が無数の模様となって、坂道を彩っている。
綺麗などではなく、儚くて、無惨だった。
無数に散りばめられ、踏み潰された花が、道沿いの急なカーブを描いて先へと伸びていく。
花の流れを目で追っていくと、坂の先で、はっと息が止まった。
――いた。
いた。やっと、いた。
彼女の後ろ姿だ。
反動で足を止めてしまった。膝がガクガクと震え、悲鳴を上げている。
重力が何倍にもなってかかってくる。
だめだ。止まってしまった。
もう体が命令を受け付けてくれない。
呼吸すら苦しくて、肺が裂けそうに痛い。
目では追うけれど、彼女は少しずつ確実に遠ざかっていく。
ごくりと唾を呑み込む。
僕は声を絞り出した。
口の中は、血と冷たさの混ざったような味がした。
重さのせいか、熱のせいか、どちらか分からないけれど、ひどく足元がふらついていて、今にも転びそうなほどだ。
倒れる前に、次の足を無理矢理にでも前へ出す。
そうでもしなければ、身体がその場で崩れ落ちそうだった。止まれば終わりだ。
僕の膝といったら、全く、頼りない。
公園を通り過ぎ、並木道を抜ける。
金木犀の香りが仄かに漂う。
一昨日の雨でほとんど花が散ってしまい、もう香りはうっすらとしか感じられない。
潰れた花々が無数の模様となって、坂道を彩っている。
綺麗などではなく、儚くて、無惨だった。
無数に散りばめられ、踏み潰された花が、道沿いの急なカーブを描いて先へと伸びていく。
花の流れを目で追っていくと、坂の先で、はっと息が止まった。
――いた。
いた。やっと、いた。
彼女の後ろ姿だ。
反動で足を止めてしまった。膝がガクガクと震え、悲鳴を上げている。
重力が何倍にもなってかかってくる。
だめだ。止まってしまった。
もう体が命令を受け付けてくれない。
呼吸すら苦しくて、肺が裂けそうに痛い。
目では追うけれど、彼女は少しずつ確実に遠ざかっていく。
ごくりと唾を呑み込む。
僕は声を絞り出した。
口の中は、血と冷たさの混ざったような味がした。


