「で?」
話を促され、僕は続ける言葉を探した。
けれど、頭が上手く働かない。黙ったまま、少し間ができてしまった。
仕方なく、思うままの言葉で尋ねる事にした。
「僕らしいって、どんなの?」
夏目さんは眉を顰める。
「道徳の教科書みたいな事を聞くのね」
「だから、変な事聞くって言っただろ」
「そうだけど……それだけじゃ、質問の正確な意味が分からない」
目が合ったまま、お互いに首を捻る。
「質問を変えるよ。じゃあ、僕がどんな行動をすれば僕らしくないと思う?」
「ああ、そういう事」
どういった違いで理解したのかは分からないけれど、さっきの質問で夏目さんは理解してくれたらしく、何度も小さく頷いた。
「自分らしく、とでも言われたの?」
「そういうわけじゃないけど」
「文化祭だって言うのに、そんな暗い事考えてるのね」
その皮肉は不要だ。いちいち言わなくていい。
何も言わないでいると、夏目さんは「曾根君らしくない行動ねぇ」と呟き、考え始めた。
「何があったの?」とは聞かない。単に興味がないだけなのかもしれないけれど。
そんな夏目さんに、少し救われた気持ちになった。


