少年少女リアル

 冴木とは全く逆の事を言う。
どこからそんな自信が湧いてくるのだろうか。

「さっき、友達に体が弱そうだって言われたんだけどな」

「弱いの?」

「いや」

「でしょう」

「夏目さんには、僕が丈夫そうに見える?」

「そういうわけじゃないけど」

じゃあ、どういうわけだ。

「だって、今まで一度も委員会休んだ事ないじゃない」

ああ、そうか。
本当に、この人はよく見ている。

「鋭いね」

「普通よ」

逆に考えれば、夏目さんも委員会を休んだ事がない。

そんな事、今まで一度も気付かなかった。
仮に、夏目さんがこの先委員会を休む事があっても、僕は特に何も考えなかっただろう。

夏目さんと僕とでは、全然見ているものが違うのだと改めて思う。
似てなんかいない。


目が合ってもいないのに、夏目さんは「何?」と尋ねてきた。そう言われて、初めて自分がまじまじと夏目さんを見つめていた事に気が付いた。

見ていてはいけないのか、と訊きたくなる。

思わず「いや、別に」と言いそうになったのを一旦飲み込んだ。

「……変な事を聞いてもいい?」

夏目さんは目を丸くすると、目を細めて笑った。

「曾根君はいつも変な事を言うじゃない」

「そうかな」

「うん」

失礼な。
どちらかと言えば、変な事を言うのはいつも夏目さんの方だと僕は思う。