「ごっ、ごめんねぇ! こいつ、今日熱あるから苛立ってて……」
冴木は僕を庇うようにして無理矢理間に入った。
代わりに僕が後ろへ下がる事になる。
「いつもはこんな奴じゃないんだよ? ごめんね、本当にごめん!」
「もういい! 何なの、あいつ! 何様のつもり?! 感じ悪すぎっ!」
冴木は更に平謝りを続けた。何度も。僕のために。僕のせいで。
機嫌を取るような上擦った声を聞いていると、だんだん申し訳ない気持ちになってくる。
冴木は関係ないのに。
「もう、行こう!」
思いきり僕を睨み付け、鼻を鳴らすと、二人は足早に去っていってしまった。
感覚をなくしていた目が再び熱くなる。
息を吐くと、大きくズキン、と頭が脈打った気がした。
振り返ると同時に、冴木は深い溜め息を吐いた。
「……はぁ。お前、どうしちゃったんだよ」
「……別に、どうもしてないよ」
冴木は力なく額を押さえると、空いていた植木の縁にすとんと腰を落とした。
「どうもしてないって……何も、破る事ねーだろ? 曾根らしくない」
僕らしくない?
「僕らしくないって、何?」
「は?」
今のは正真正銘、僕が起こした事だ。僕が、自分の意思で破った。
それなのに、僕らしくない?
僕らしいって、何だよ。


