少年少女リアル

 熱い何かが込み上げてくる。
この感情が何なのかは分からない。ただ、怒りに近いのは確かだった。


「たかが昨日見かけだけで、かっこいい? タイプ?」

目の前の女を睨み付ける。彼女が怯んだのが分かった。

「一体何を見て言ってるんだよ。見かけただけでタイプだなんて、よく軽々しく言えるな。笑わせる」

「お、おい……」

「あんたに何が分かる? 見た目だけで、僕の何を知っているって言うんだ」

「曾根、やめろって!」

「はぁ? 何こいつ……」

表情が一転し、女は怪訝そうに眉を寄せた。


何こいつ?

これが僕だ。これが僕だと言うのに。


何も知らないくせに。

何がかっこいいだ。何がタイプだ。

何も知らないくせに。

何も、何も。何も。何も何も何も何も何も何も!


メモはビリビリと数回音を立てた。力を入れなくとも、細かい紙片になっていく。
僕は無惨になった紙片をそのまま落として捨てた。

「なっ……!」

「曾根ってば! おい!」

冴木が僕の肩を強く掴んできた。
視界は揺らがずに、そのまま、目の前の歪んでいく女の顔を捉えたままだった。
真っ赤になった顔で、真っ赤な目で、僕を睨み付ける。

「最低……っ! 有り得ないんですけど!」

敵意を向けた瞬間、女の顔はとても醜くなった。不細工としか言い様がないほどに。

じわじわと目が潤いを増していく。

何の涙だ。
泣く必要などないのに。

僕がこんな人間じゃないとでも思っていたのか?


僕は、僕は、

僕は、こんな人間だ。