少年少女リアル

 そっと振り向いた彼女は、まだ目が赤くて、遠くで顔を隠し始めた夕日と同じ色だった。

「どうして責めないの?」

「曾根君が謝るからだよ」

意味が分からない。
眉を顰めてみる。

「そんな風に謝られちゃ、泣くしか、できないよ」

ズキンと胸が痛くなった。まるで胸に虫歯でもあるみたいに、神経に触れる痛みが。


「理性ぶっ飛んでた。あんな、酷い事……どうかしてた」

きっと正気じゃなかった。そう思っているし、そのせいにしなければ、気が可笑しくなりそうだ。

男だからって正当化しようとする、もう一人の自分が怖い。


欲に狂った、僕は罪人でしかない。


「殴って」

「そんな事……」

「じゃないと気が済まない。責任の取りようがない」

彼女はひどく驚いた顔をして、それから、「もう、いいよ」と呟いた。

咎めない彼女の考えが僕には分からなかった。
あんなにも酷い事をしたのに。
それでも、僕は自分の事に頭がいっぱいで、罪を揉み消そうと必死だった。

「……忘れてほしいんだ、昨日の事は」

自分でも、最低な事を言っていると思った。

これが僕の本心だ。


彼女は「そうだね」と落ち着いた声で頷いた。