少年少女リアル

 冴木の胃腸には感服した。明日は胃腸薬を飲んでから来よう。
その後、危険を感知した僕はすぐに白旗を上げた。冴木の「食おうぜー!」にはついていけない。


「ったく。どういう神経してんだ、あのババア」

ストローを噛むと、佳月は二回目の舌打ちをした。

「文化祭だぞ? ホストじゃねぇっつーの。気持ちわりー」

閉店時間になり、合流してからずっとこうだ。客に尻を触られたのだとか。
セクシャルハラスメントという言葉を知らないのか、と先程から不機嫌極まりない。
気持ちは察するけれど、八つ当たりされては堪らないので、無難な反応で済ませておく。

「そういえば、他のクラスはどうだったんだ?」

「どうって?」

「色々回ったんだろ。どこか面白そうな所あったか?」

ああ、と今日一日のダイジェストを脳内で再生してみた。ずっと、何かしら食べていた気がする。

「そういえば、飲食しか見てないな。野外ステージとかはさっぱり」

不満足そうな返事をしながら、佳月は棒ネクタイを解いた。
セクハラだ何だと怒っていたくせに、まだ衣装を着ていているのだから、可笑しい。
僕はとっくにあんな恥ずかしい衣装は着替えてやった。

「明日の後半は自由行動だからな、俺は」

棒ネクタイをリュックへ突っ込む。すると、交代で中から筆箱が落ちてきた。
佳月はそれを拾うと、捩じ込むようにまた鞄の中へ突っ込んだ。