「この雨、いつ止むんだろうね」
「さぁね」
軒から外れた所にある植木は、雨に打たれて痛そうだ。
嬉しいだなんて、とんでもない。
「予報では、夜には降り止むって言ってたけど」
「本当?」
確か、九時頃には晴れマークで予想されていた。今の様子では、降り止む気配すらないけれど。
向井さんも左半身濡れてしまったのか、ハンカチで顔や体を拭いている。
この雨なら無理もない。僕がびしょ濡れになった犠牲も虚しく。
雷雨こそうるさいくらいだが、その他は雨水の流れる音以外ほとんど何も聞こえない。
足下の溝の中では大洪水が起きている。
湿度のせいか、吸い込む空気が澄んでいるけれど、どこか重い。
「わ、曾根君……」
「ん?」
「びしょびしょに濡れちゃってる……」
顔を上げると、向井さんが困ったような目で僕の濡れたシャツを見ていた。
「ごめんね」
「いいよ、別に」
にこりと笑えれば、きっと彼女の困った顔もすぐ直るのだろうけれど。口角が上がろうともしない。
作り笑いは教師にしか反応しないのか。全く、よく出来ている。


