少年少女リアル

 公園沿いに差し掛かった頃、穏やかになりかけていた雨足が急に激しくなり始めた。

これだから、秋空は読めない。
駅に着くまでまだもう少しあるのに。
残りの帰路を思うと、胸が締め付けられる思いがした。


ふいに自転車のベルが鳴った。
余程ぼんやりしていたのか、今の今まで車輪の近づく音に気づかなかったとは。

後ろから来る自転車を避ける。
ぼんやりしていたのはどうやら僕だけではなかったらしく、道を空けようとすると、傘を持つ手が彼女の肩にぶつかった。

「わっ」

驚かせてしまったらしい。慌てて「ごめん」と謝った。

自転車が僕等を追い抜いていく。
くすんだオレンジの楕円がくるくる回って、小さくなって、だんだん遠ざかっていった。

しばし流れた沈黙がやけに気まずい。
触れた手の甲がだんだん熱を帯びていく。

触れてしまった。

だめだ。彼女に触れるのが怖い。異常に反応する。
触れることだけじゃない。話すだけでも彼女を傷付ける。怖い。もう嫌な思いをしたくない。


雨の勢いが増してきた。
もはや、「しとしと」なんかじゃない。ザーザーと音を立てているし、溝を流れる泥水は凄い勢いだった。