少年少女リアル

 衝動以外の気持ちがあれば、恋愛?

もし、そうだとすれば、佳月が僕に訊ねた質問の答えは、ノーだ。
僕が向井さんを抱いた事は、衝動以外の何物でもなかったのだから。

いや、「抱いた」では語弊がある。無理矢理「犯した」のだ。

僕が衝動的に引き起こした行動のせいで、向井さんの感情まで、掻き乱してしまった。
そして、その結果、自分自身に困惑が返ってきたわけだ。

そう、困惑。

――困惑?


「見返りを求めない愛なんて、家族愛以外、有り得ない。ただの美談でしかない」

「見返りを求めないのが純愛、ねぇ」

まぁ、確かに。
あったとしても、一種のストーカーを指すのか。それも可笑しな話だ。

「ね、有り得ないでしょ?」

薄笑いの返事を返すと、夏目さんは、まるで溜め込んだ愚痴でも吐き出すみたいに、再び話し出した。

「嫉妬とか性欲とか、邪念が多少混ざった恋愛の方が人間らしいのよ。純愛よりも、私はそういった人間らしい方が好きだし、美しいと思う」

そんなもの、決して美しくはないのに。それを、この人は美しいと言う。