「ギリギリ手の届きそうな所を選ぶの」
夏目さんは、すぐに、僕とは違う所へ目を遣った。
「手の届く範囲で、一番上等なのを摘み取る。可愛い子や綺麗な子を傍に置いておきたいから」
「何だか嫌になる話だな」
ぽろりとそう僕が零すと、夏目さんも似たように笑った。
僕に限定されないとなると、否定も出来ないのが悲しい。皮肉に聞こえる。
「男にとって、女はステータスに見えるんじゃない? 結局は他のオスに対して、見栄を張りたいだけ」
「……」
「高嶺の花に挑んで零砕するのはかっこ悪いし、手間だから、そんな努力はしない。それで、手の届く一番良い花を選ぶ」
頭の中でも反論できない。
僕が男という輪の中で生きてきた上で、嫌と言うほど身をもって知っているからだ。
「見栄っぱりだけど、それも皮相的で、結局のところ、無謀な闘争はしないのよね」
そして、外側から見たら、僕等はそのように、合理的で、無様に映っているらしかった。


