少年少女リアル

 夏目さんの視線は未だ画面の中だ。

僕から話を振る時は、興味がないのか、大抵、顔も上げない。上げる時も稀にあったが、すぐに本の世界へ帰ってしまう。
それは、本の内容があまりに面白いからだろうと僕は考えていたけれど、どうやら、あまり関係なかったらしい。
対象が携帯電話に変わっても、熱中している。

「じゃあ、どうして読んでるの?」

「暇潰し」

僕との会話は暇潰しにも勝らないようだ。

夏目さんの厭味っぽい話し方にも、もう慣れてしまった。
こんな人だから、最初はやっぱり不快に感じる事もあったし、宇宙人の中でも、銀河系の外から来たのじゃないかと思うくらい言動が謎だらけだった。

「意外だな。夏目さんって、携帯小説とかそういうの嫌っていそうなのに」

そう?と視線を上げる。
今でも、夏目さんとの会話は不可解な事ばかりだけれど、慣れてしまえば、それなりに面白かったりする。

「暇潰しでも、読んだら何かしら残るものがあるから」

未知との遭遇、とでも言うのか。
不思議と、僕はこの時間が嫌いじゃなかった。