誰?と聞かれて、ちょっとだけドキッとした私はお弁当をつつく箸を躍らせながら「別に?誰の事でもないけど?」 なんて話しを逸らしたけれど 『彼が』すぐ近くの席で昼食をとっているのに 万が一でも話しを聞かれたりなんかしたら気まずいでしょう。 「もしかして、矢口チーフの事?」 不意に美沙子の声が耳元で聞こえて、驚いて箸を落としてしまった。