ゆっくり近付いて私の手を取った彼。 「でも…俺、結婚してるんだよな。」と溜め息まじりに呟いた言葉が、さっきまでの胸の高鳴りを一気に冷えさせた。 気持ちは伝えた。 通じあった。 けど、報われない気持ちだという事に変わりはないんだ。 気持ちが通じ合ったからって付き合えるような純情ラブストーリーなんかじゃない。