―由利Side―
「颯斗に言われたら私も全部大丈夫って思えるかも。」
「風太じゃなくて颯斗君?」
「そ。」
「何で違うの?」
「そりゃあ……」
私は言おうか躊躇ったがあんまり風太を焦らすのも可哀相だと思ったので梓に気付いてもらう為にとうとう言うことにした。
「私が、颯斗を好きだからよ。」
「好き…じゃあ私は風太が好きだから大丈夫って思えるのかなぁ?」
「それは梓じゃないと分からないことよ?」
「う〜ん…好きってどういうこと?」
「相手のことを考えると、胸が痛くなったりいつでも2人でいたいって思ったりとにかく2人でいたら幸せな気分になれること。」
「そっかぁ…そうなのかな?」
いまいち反応が薄い梓。
でもそれは仕方のないこと。
梓にとっては初めて感じる思いなのだから。
私はそんな梓に「焦らなくていいの。もしかしたらそうかもってだけだから。」と声をかけ、不思議そうな顔をする梓に優しく微笑む。

