都心のある私立高等学校のひとつの二年の教室が喧騒に溢れ返っていた。

そこには、やかましく騒ぐギャラリーに囲まれた数人の男子。

一人相手に五人掛かりという状態のなか圧倒しまくる男、名を神裂神人―かんさきしんと―と言う。

「オラオラー!そん程度かぁ?」

拳と共に荒々しい語調の台詞が対面にいる奴の顔面へと放たれる。

容赦なく殴られた人は空気抵抗の壁をぶち抜き本物の壁に激突する。

圧倒的なパワーだが相手側はもう幾度となく神人とやり合っており、その程度では彼等の戦意は小揺るぎもしない。

それどころか、

「早くやっちまわねぇとアイツが着ちまぞ」

それ以上の畏怖の対象が控えていることに焦っていた。
「ちょっと!!何やってんの!また喧嘩?」

突然の横槍。

「げっ、着ちまった」
どうやら彼等、不良共が恐れていた人物が現れたようだ。

しかし、それは畏怖の対象にしてはえらく可愛いらしい声で表した姿も真に美しくもあり可愛いものだった。

「げっ、美香!」

神人もその少女の登場に動揺する。