そして席を立とうとしたら
さっきの女の子が

「あのー
一回生ですか?」

と聞いてきた。


「そうですよ」


「良かった。
この授業みんな年上の人ばっかりかと
思ってたから。
私、小森千穂。よろしくね」


彼女は長い黒髪をさっと揺らして
顔を横に傾けて
あなたの名前は?
といった表情を見せた。

「こ、近藤遼太、よろしく」


彼女の揺らした髪の匂いに
ドキッとしてしまい、
作り笑いで返事をした。

「私さ、
人の心読めるんだよ」


「へー
じゃあテレビ出れるじゃん」


「出れるかもね。
あなた、さっき私がコンビニの袋置いといたって言った時
『コンビニの袋で場所とるやつなんかいるか』
って思ったでしょ」