どうやら残念な事に、頭の賢さも姉に吸収されているようだ。



同じ有名私立中学校に通う柚希さんは、学年でも常に上位をキープしているのに。


かたや私立女子小学校に通うその妹は、九九でつまづくアホっぷりとは…。



俺を睨みつけてグッと堪えていたが、次第に大きな瞳には涙が溜まり始めた。



「うぇー…、柚ちゃーん…」


「のん――また…?」


「うわぁああん」


柚希さんの元へ逃げ出し、すぐにすべてから逃避するように泣きだすガキんちょ。



「…もう少しソフトに言ったら?」


「はぁ?何で?」


恭哉のアドバイスらしき発言が、よけいに俺のイライラを助長させる。