君だけしか映らない

――その時。


「おい、悠哉!」



後ろから聞き覚えのある声に名前を呼ばれた。


「ここにいたのかよ。今さ、あの子たちと話しててみんなでカラオケ行こうってことになったんだけど、お前ももちろん来るよな?」


振り返ればそこにはハルがいて、ハルの指差す方には桜ヶ丘高校の女子が4人いた。



「あの子たち結構レベル高いだろ?お前、昨日カラオケに来なかったんだから今日は来いよ。」



…カラオケか。ハルは本当に好きだよな。


てゆーか、他の女なんてどうでもいいし。


荒川ともっと一緒にいたいのが本音だ。






「…てか委員長、まだいたの?」



(…ハル!?急に何を…?)



「悠哉のパシリでここまで付いてきたみたいだけど、いい加減空気読んでほしいんだよね。」




ハルの言葉に意外にも冷静な態度で荒川は口を開いた。



「…ごめんなさい。私、自分が場違いだって分かってはいたんだけど…。」



(荒川……?)



そう言って荒川はオレのカバンを目の前に差し出してきた。



「さすがにカラオケまで付いて行くなんてことはしないので安心して下さい。…私はこれで帰りますね。」


なかなかカバンを受け取ろうとしないオレに、荒川は無理矢理カバンを押し当ててきた。



「おいっ!荒川っ!!」



オレの呼び止める声に答えることもなく、荒川はゲーセンを飛び出して行ってしまった。