君だけしか映らない

「おはよ。荒川」



「あっ。おはよう佐伯くん」


それでも朝、下駄箱で会えば自分から声をかける。下駄箱で会えなければ教室で何気無く近付いて挨拶する。


挨拶する時は嫌な顔をせず、むしろ笑顔で返してくれる。



「…荒川、お前今日数学当たるんじゃねーの?」


「えっ!?嘘!!ヤバいっ予習してないよっ」



「…オレが教えてやろうか?」



「え………?」


オレは勇気を出して言ってみた。心臓がスゲードキドキしてる。



「…いや、自分でやるからいいよ…」



荒川の表情が曇る。あからさまに嫌そうな感じだった。



―ズキッ



そんなにオレといるのが嫌かよ…。


挨拶は笑顔で返してくれるのに…。


いつもこんな感じで先に進まない。



「…そっか。わかった」




オレ、そんなに嫌がられるようなことしたか…?


考えても全く思い付かなかった。