君だけしか映らない

それからなんとか無事に文化祭も終わり、後夜祭の時間が近付いた。



「あ〜疲れた…。」


執事の衣装から制服に着替え、椅子にもたれ掛かる。

(ハルが始まる前に余計なことを言うもんだから…)

文化祭が終わると女子たちは待っていたかのようにオレとハルを携帯のカメラで撮りまくっていた。


オレは嫌だったけど、ハルが無理矢理オレを巻き込んでの撮影会だった。



「佐伯くん。お疲れ様。」


「っ…!荒川…!」


まさか話しかけてくれるなんて思っていなかったから驚いた。



「今日はホントに色々とありがとね。」



「いや…別にオレは…。それよりお前はもう平気なのか…?」



「うん平気だよ。そんな落ち込んでばかりいられないからね。」


そう言って荒川は微笑む。


あれからオレの後に教室に戻ってきた荒川は、さっきまで泣いていたのが嘘の様に元気だった。



「…荒川…もしかして帰るのか?」


「え?うん。そのつもり」

「後夜祭は?」


「後夜祭って自由参加でしょ?特に私はそれほど興味もないし」



その言葉にオレはショックを受けた。
オレだって後夜祭に興味はない。だけど少しでも荒川と一緒に過ごしたいと思っていた。



「あっでも佐伯くんは残った方がいいよ。後夜祭で今日の文化祭のMVPが発表されるんだって!おそらく佐伯くんなんじゃないかって思うんだ。女子が圧倒的に票を入れてると思うよ。」



MVPなんてどうでもいい。
その場に荒川がいないのならちっとも喜べない。


「それに、後夜祭で告白するって人が多いみたい。佐伯くんは絶対告白されると思うから残っていた方がいいよ。」



荒川は笑顔でサラッと言う。

そんな言葉お前の口から聞きたくなかった…。