君だけしか映らない

相変わらずオレに背を向けてる荒川にもどかしさを感じ、オレは思いきって荒川の肩を掴んだ。



―グイッ


「いやっ…!」



オレは荒川の肩を掴みこちらに向かせた。



「………っ!」



目を真っ赤にして、オレが来るまでの間にどれだけ涙を流していたのだろう…。

涙を流したせいで目元が少し腫れぼったくなっていた。



「やだっ…!!顔見ないで…!!」



咄嗟に腕を振り払われた。


「酷い顔だから…。ブスの泣き顔はいいもんじゃないんだよ…」



「何言ってんだよ!!」


「え?」というような顔で荒川はオレを見た。



「そんな風に思ってねーよ!!」



本心だった。


荒川の泣き顔を見て「ブスだ」なんてこれっぽっちも思わなかった。


むしろその泣き顔にオレは守ってやりたいという気持ちになった…。



「…やっぱり佐伯くんは優しいね…」



そう言って荒川は微笑んだ。



「………っ!!」


その瞬間オレの胸はキュッと締め付けられた。



なんだこれ…?


心臓の音がいつもよりうるさい。



あぁ…そうか…。



これが『好き』って気持ちなのか…。



オレ、荒川のことが好きなんだ…。