君だけしか映らない

その男たちを接客していたのは荒川だった。



「あぁ…オレらアンタじゃなくて、あっちの子がいいんだけど」


そう言って男の指差す方には、さっき男たちの会話の中心になっていた女子がいた。



「すいません…。今とても混んでいまして…。みんな次々と注文を聞きに行かなくちゃいけないんです。」

そう荒川が答えると男の一人が「チッ」と舌打ちした。



「てか、せっかく来たのに何でこんなブスに接客されなきゃならねーんだよ」



「っ………!!」



荒川はその場で立ち尽くしたまま動かない。



「アンタさ、その格好自分で似合ってるとか思ってるわけ!?」



オレはその会話を聞いて、いてもたってもいられず荒川に近付いた。



「荒か「今…その子を呼んできますね」


オレの言葉を遮って、荒川は無理しながらも笑顔を作った。



そして荒川はその女子に事情を話し、持っていたお盆を渡して教室を出て行ってしまった。