君だけしか映らない

「ふ〜ん…お前まさか委員長のこと好きなのか?」



「は!?お前何言ってんだよ!!んなわけねーだろっ」



「だよな。お前なら可愛い子がたくさん寄って来るだろうし。委員長なんてあり得ないよな。わりぃ、変なこと聞いて」



オレが荒川を好き…?


まさか、そんなわけない…

今までずっと荒川と話したいと思ってた。でもそれは『友達』としてだ。


オレに普通に接してくれて…


荒川と話をした時、妙に穏やかな気持ちでいられて…

いつかまたあんな気持ちになれたらって思ってた…


だから荒川と話がしたくてしたくて……




「佐伯くん!!」


ハッとして我に返った。


「どうしたの?ほら、もうすぐ始まるから準備して」


「あぁ…」


話しかけてきた荒川に一瞬ドキッとした。


(ハルが変なこと言うから…!)



オレは『好き』という気持ちがどういったものなのかよくわからないんだ…。



―――こうして文化祭が始まった。