君だけしか映らない

…ひらひらのメイド服。


その姿はお世辞にも似合ってるとは言えなかった。


オレが黙って荒川を見つめていると、不思議そうに荒川が近付いてきた。



「どうしたの…?」


「いや…」



「もうすぐ始まるっていうのに、いないから探したんだよ!!」



「あぁ…わりぃ」



「それにしても、佐伯くんすっごく似合ってるね!!やっぱりかっこいいわ」



「……!!/////」


その荒川の一言でオレの体温がいっきに上がるのがわかった。


かっこいいなんて言われ慣れてるはずなのに、なんでこんなドキドキしてんだ?


「…それに比べて私は全然似合ってないからね」


苦笑いしながら荒川が呟く。


「でもまぁ約束だしね。お互い乗り気じゃないけど、まぁ頑張ろう!よし、じゃあ教室行くよ。みんな待ってるんだから」



「…わかったよ」



嫌だけど仕方ない…か。


オレのせいで巻き込んだ荒川だって、こうやってちゃんとやろうと思ってるわけだし…。



オレと荒川は空き教室を出て自分たちの教室に向かった。