君だけしか映らない

――文化祭当日。



「ねぇ、聞いた?1年3組ってメイド&執事喫茶やるんだって!!」


「ホントに!?」


「佐伯くんと加藤くんが執事やるんだって〜!!」


「きゃ〜!!マジで?絶対行こう!!」



朝から校内はこの話題で持ちきりだった。



―――


(あ〜なんだかな……。)


執事の衣装に着替えたオレは、空き教室の椅子にもたれ掛かって窓の外を見ていた。


―ガラッ


「あ〜やっと見つけた!ここにいたんだね佐伯くん!!」


勢いよく教室の扉が開いた。走ってきたのか、息を切らしている。



「あ……らかわ…?」



オレは扉の前に立っている荒川の姿に目を見開いた。