君だけしか映らない

あれからオレの目はいつも荒川を追いかけるようになった。



だけどあの日以来、荒川とまともに話していない。



荒川は必要以上にオレに関わろうとしなかった。


(アイツなんの話してんだろ…。)



見つめる先には楽しそうに友達と話をしている荒川。

…あの時の様に普通の会話がしたい。オレは頭の中でいつも思う。



「ねぇ、悠哉聞いてるの?さっきからボーッとし過ぎだよ?」


「何か悩みでもあるの?」

女たちが心配そうにオレの顔を覗き込んでくる。



「…いや、何でもない。」

悩みがあったってお前らには言わねーよ。


ふと荒川が「最初から『コイツはオレの外見しか見てない』って思っちゃダメだよ。」と言った言葉を思い出した。



「…なぁ、オレってどんなやつに見える?」



その質問に女たちは驚いた様に顔を見合わせる。


「どうしたの?急に。」



「いいから答えて。」


普段それなりに話すこいつらにはオレがどんな風に映っているのか気になった。