同じ孤独を感じている


気配に気づいたのか、彼女はテーブルに置かれた紙を手に取ると、そのまま俺の方を見た。


彼女の表情は、驚きと困惑。
この二文字でよく現せる。


俺はなるべく笑顔で、彼女に視線を向けた。


『…え、あ、あの…??』


まーあれだよな。
いきなり店の客に、連絡先書かれた紙を渡されても、驚くだけだよな。


『いつも頑張ってるよね。それ俺の連絡先。良かったら連絡ちょうだい。』


俺はどうしても受け取ってほしくて、突き返されたくなかった。


『だいたい、19時以降は空いてるから。』


それだけ言うと、俺は足早に去っていく。
いや、ただの逃げだ。


一刻も早くこの場から逃げ出したかった。


彼女の表情を見たとき、“嬉しさ”という言葉は浮かんでこなかった。