忘れな草の栞




生徒玄関まで来てあ、と声を出して立ち止まったイケメンくん。
そんでもって、何を思ったのか分かんないけど私を見てくる。
あわわっ!?私何か変な事したか!??



「ところでさぁ。時間的にはもう遅刻だけど……、大丈夫?」




























「わ、わわ忘れてた!!」



さぁっと、一気に顔から血の気が退いていくのがわかる。
まずいマズい不味い。
マッハで、上履きをはく。ついでに、財布をカバンから出してタクシー代の半分をイケメンくんの前に突き出す。


割り勘でいいって言ったのに、最後にはイケメンくんがお金を払ってしまったのだ。
でも、私にもプライドっていうもんがあるんだよ、男の子それもイケメンにばっかり負担はかけさせたくない。



「いいって、いらないよ?」

「大丈夫だもん。ほら、早く受け取ってよ!」




えー…、でもさぁ…。って言って悩むイケメンくん。わぁ…、イケメンって悩む姿もイケメンだ。
うわぁ、照れる!



結局、立ちつくしたままのイケメンくんに無理やりお金を押し付けて、遅刻というレッテルを貼られるであろう自分の教室に走ったのである。