「さやか」

「うん…?」

さやかが顔を上げた瞬間。

俺は…―。


「…せい、じ…?」

「…あ、俺…」

「…っ!」


さやかが慌てて出て行った教室で、俺は頭を抱えて。

…バカだ、俺。

どうしてあんなこと…。


ただ、さやかがキレイで…さやかに触れたくて…。

一気に距離を縮めてしまった。

あんなことするつもりじゃなかったのに。

(バカだ)

(本当に、バカ)


「ごめん…」

謝っても、誰も答えてくれる人はいない。

一気に近づいたと思ったのに、さやかは信じられないほど遠く離れてしまった。