夏美――― 確か、兄貴の彼女だ。 兄貴は彼女をつくると、 必ずといっていいくらい家に連れてくる。 今回で、たしか10回め? いや、15回か…? 教科書の数式を見ながら 頭の中で過去の彼女を数える。 「―あ。16だ」 数え終わると 睡魔に負けて、机に伏せた。