空は青色、君は君色

心臓が一瞬止まった気がした


なつき

大嫌いな名前


まさかと思って
顔を上げる

向こうから
渡ってくるのは
間違いなく
あのなつきだった


気付きませんように

背中に冷や汗が流れる

どうか
気付きませんように

でもどうして
神様は意地悪をするのだろう




「吉田??」




彼は
私に気付いた

「吉田じゃん!!」


私に手を振る彼を見たとき
あの日の記憶が
すべて蘇った


あれは中学最後の年

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「よ~しだっ」

「なつきくん!!
迎えに来てくれた??」

「当たり前~」


中学3年間思い続けて
なれた両思い

大好きだった

心の底から
大好きだった


「外雨降ってんだよ」

「傘あるよ??」

「まじ??やった~」

笑顔が可愛くて
その笑顔が見たくて
私も必死に
笑ってた




下駄箱のところに
来た時

「なっちゃん」

「まりあ!!その呼び方やめろ」


彼はもてた

から、こんなん
日常茶飯事だった

でもこの日は

「傘あるから入る??」

「え??」

「なっちゃんどうせ無いでしょ??」

「うんねえ」

いつもと違った

いつもなら

悪い彼女いるからって
言ってくれてたのに
そのまま
二人で行こうとする


「なつきくん??」

私の声は
彼に届かなかった


「待って....きゃっ」


追いかけようとしたとき
濡れた廊下で滑って
転んだ


「吉田~」


彼はこっちを向いた

助けてくれる

そう思った