気がつくと縁側でそのまま眠ってしまっていた。

目を覚ますとおばあちゃんはテレビを見ていた。
数か月前のドラマの再放送だ。
そしてちゃぶ台には、あずきゆべしがあった。

「わあ、おばあちゃんのあずきゆべし♪久しぶりだなー」
私はこどもみたいにはしゃいだ。

「あら、やっと起きたのかい。ちょっと作りすぎちゃったわねぇ、
 どうぞ、カホちゃん召し上がれ。」

「うん!いただきまーす♪」


「……あれ?」

「カホちゃん、おばあちゃんのゆべし、おいしい?」

「え…、うん…!!おばあちゃんのゆべし、久しぶりだな―♪」

違う。
おばあちゃんの味じゃない。

材料が十分に混ざりきっていなくて
もち米粉と上新粉が固まってる
それに全く甘くなかった
きっと砂糖を入れ忘れているんだろう。

どうして…?
おばあちゃん、あんなに一生懸命作ってくれたのに

「すごくおいしいよ…ありがとうね、おばあちゃん。」

込み上げてくる涙を必死にこらえて
私はそのゆべしを食べ続けた。

おばあちゃん、ゆべしの作り方、
忘れちゃったの?

その時になって初めて
私はおばあちゃんの異変に気がついた。